第1章 社畜人生の幕開け

 

第1節 始まりの刻

 

今思えば、困難な人生を選んだものだ。私「てんめい」は高校生時代すでに、はっきりと将来の夢が決まっていた。
大学は、絶対に法学部がある所に行きたいと考えていた。

 

小さい頃から異常と言えるほどの正義感を持っており、世の中にいる「悪人」がどうしても許せなかったのだ。

 

殺人・強盗・窃盗など……世の中には悪事を働いていても裁きを受けない人間がいる。
そんなふざけた奴らをこの世から消してやりたいと思っていた。
弱者を助ける強き弁護士……そう、ドラマのHEROに出て来る弁護士のようになりたかった

 

残念ながら、その思いは後の「司法試験」という大きな壁に阻まれることとなる。
大学生時代は死ぬほど勉強したつもりだった。1日10時間以上は勉強したと思う。
ただ、ひたすらに、がむしゃらに。
成績も決して悪くは無かったし、限られた成績上位者に対して大学から支給される返還不要の奨学金30万も貰った。

 

でも、駄目だった。

 

挫折し、自分の進路を変更したのは大学4年生の頃である。
いくら勉強を続けたくても、生きるには金が必要だ。

 

それに、その頃には300万以上の借金が卒業時にのしかかって来ることは理解していた。
奨学金の返済が始まるのだ。

 

しかしながら、世の中は「就職大氷河期」と呼ばれる時代に突入していた。
リーマンショックによる影響で、内定取り消しや採用枠の縮小が行われている真っ最中だったのだ。

 

採用面接を100社受けて、100社から「お祈りメール(不採用)」が来るような時代。
それも、私などとは比べ物にならないほど気さくでコミュニケーション能力が高いような人物なのに、だ。

 

正直なところ、もう就職は無理だろうなと思っていた。
とんでもない時代に就職活動を始めたものだ……虚ろな表情で新聞の採用欄を見ていたところ「学校事務」の採用が出ているのが目に付いた。

 

一見、学校事務というと、いわゆるホワイトな職業というイメージがあった。
「学校事務=ホワイト」、非常に愚かなイメージを抱いていたものだ。
何の疑問も持たず、とりあえず応募してみることに。

 

この選択が、後々人間としての尊厳を踏みにじられ、心も体も奴隷にされる「はじまり」になるとは。

 

次 → まだ【第2節 奴隷の一歩】

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